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ソバニ エシカルブログ

エシカルレザー Sobagni 誕生物語

2022/07/23 (最終更新日:2022/09/28)

今日は一年目の節目ということで精魂込めて書き連ねた「エシカルレザーSobagniの誕生秘話」をお届けします。

皆さんこんにちは。エシカルレザーSobagniの中村美由紀です。

私は、1993年、新卒採用で共和レザー株式会社に入社しました。

当時はまだ田舎の会社では女子は結婚したら会社をやめるものというのが常識の時代で、差別しかないような会社でしたが(笑)

最初から、仕事を長く続けたいと思っていた私はやめないぞ!って感じでだらだらと会社にい続けました。

時代背景もありロクな仕事もしていない私が会社初の女性なんちゃらというものを次々更新し、笑

今に至っているわけですが、こどもが一歳になったばかりのころもうちょっと子育て頑張りたいなと思っていた頃にいきなり「管理職」を言い渡され、ええ、もうちょっと子育てしたいんですけど…って思っていた私に、その時の上司からこういわれました。

この人事を決める時、社内から「大丈夫か?」という声があった。

だけど自分は「絶対大丈夫です。しっかりやってくれます」と言い張った。頼むよ。

と言われ、信頼してくれる上司に恥を書かせてはいけないと思い、覚悟を決め受け入れることにしたのを思い出します。

管理職というとやはり、それまでとはちょっと扱いも違いますし、立場も違います。戸惑いながらも自分ができることはなにか、何をすれば会社に貢献できるのかを考えてきました。

実際自分が若いころ同僚とよく「え、なんであの人が管理職?ありえないよね」なんてことを口にしていて(笑)年功序列で男性はどんな人でも長くいればほぼ管理職になれていたので、私自身が管理職になるという議論があった時に「大丈夫か」という発言が出ること自体おかしなことなのですが、こういう発言が出ることを考えても女性が管理職になるということは会社にとって特別なことだったのだと思います。

そのころから、女性ならでは、自分ならではの個性を生かした仕事で会社に貢献したいと思うようになりました。男性にはない感性を表現すること。会社で生き残っていくにはそこしかないと感じていました。

大手自動車メーカーのシート材のOEMメーカーとしての会社

大手インテリアブランドの内装シート材(壁紙やユニットバスの壁装)などを手がける会社の、デザイン部という部署に所属していた私はたとえOEMメーカーだからと言って、いわれたことだけをいわれたとおりにデザイン開発するのはダメだなと常に感じていました。

自分たちが考え、何が求められているか、時代背景を見つめこれからのトレンドはどこにあるのか、そういうことを発信していく立場になりたいと思っていました。

ファッションではパリコレ、インテリアデザインではミラノサローネといったトレンド発信は大体ヨーロッパです。

こういった展示会に自ら出向き、トレンド情報をキャッチする、まとめて提案するということを15年ほど前から行うようになりました。

会社にお金がないからといわれ、有給を取って自腹で展示会にいったこともあります。やはり、海外の空気は視野が広がりますし、次の仕事がとてもやりやすくなります。

そんな感じで、毎年海外の展示会を見ている中で感じていたこと。

エコ、リサイクル、環境、アップサイクル

もうすでに聞きなれた言葉ですが、このキーワードも表現の仕方が年々変化していくのを感じました。単純なリサイクルではなく、

リサイクルをデザインする。デザインされた環境への取り組み。

ゴミをなくすをいかにデザインの力でかっこよくするか。

そんな変化を肌で感じ、これから環境に配慮したモノづくり、企業としての取り組み、発信はデザインの力でかっこよくして提案する。

まさにここだと感じました。

そんなことを感じながら日常の会社生活に戻ります。

当然、会社としてもリサイクルには取り組んでおり、新商品の開発と同時に廃棄を減らすための研究開発も行っています。

が、頭が悪い私には、素材の分解とかそのたぐいの研究開発はできません。私がやれるとしたら先にも書いた「デザインの力で環境対策をかっこよくすること」だと思っていました。

ちょうどそんなころ、たまたまデザイン部の数名で雑談をしていた中で、「会社をかっこよくしたいよね」トークが始まりました。

めちゃくちゃ盛り上がりいいたい放題、笑

社長にSNSでつぶやかせよう、とか会社のキャラクターを作って着ぐるみを歩かせようとか、そんなふざけたことから

とてもまじめで的を得た話まで。これ、面白いかもと感じ、毎週一時間みんなで集まって「夢」を語る時間を作ることにしました。それが2017年今から5年前になります。

そこで日ごろから感じていた違和感をみんなと共有しました。

①自動車のシートに使われている素晴らしい素材。だけど実際身近に自社製品を目にしないぞ。

もしかしたら目にしているかもしれないし、身近にあるかもしれない。でも自社製品なのか他社製品なのかもよくわからない。なぜなら共和レザーとはどこにも書いていないから。工場の人たちは自分が作っているものがどこにどう使われているのか知っているのだろうか。

②自分が買った合皮のバッグは悲惨なまでにボロボロになってしまった。なのに自社の合成皮革はボロボロにならないってどういうこと??

一般的に合成皮革というと加水分解を起こしてボロボロになってしまうというのが常識。だけど、共和レザーで作っている合成皮革は10年以上も加水分解を起こさない素材。加水分解を起こさない合成皮革が世の中にあるっていうことはほとんどの人が知らないはず。

③とにかくもったいない。宝の山を横目で見る日々

私自身、ミシンでバックや小物を作るのが趣味で、自宅に工業用ミシンをもっていました。社内を移動中、いつも目にしていたのが、コンテナに捨ててある端材や試作の廃棄材。 これを持ち帰り自分のバッグなどを作っていました。捨てるのもったいないな…

そんな違和感についてもみんなで考えてみました。

①自社の製品にブランドを付けて身近なものにすれば、だれもが分かる。

共和レザーはこういった高級車にも使われている合成皮革を作ってる会社なんだと認知できるようになる

②答えは簡単。ボロボロにならない自社の製品でバッグを作ればボロボロにならない。

 そして作ったバッグを通じて素材そのもののアピールもできる

 ③捨てないで使う

自動車メーカーに出すには企画に合わないけれど、小さいものを作るにはなにも 問題のない素材なら、それを使えば、ゴミは減る。材料費がかからない、地球にも環境にも優しい取り組みになる。(実際には使えないものも多くあります)

こういった「違和感」をなくすことは会社にとっても、環境にとってもそして働く従業員にとってもいいことにつながるのではないかという結論に。

まず最初に行ったのが「産学協同活動」。

会社の素材を手に取りやすいものにしていくのに学生さんの力を借りようと思いました。

バッグデザイナーさんの卵に素材の授業をさせてもらい、無償で素材を使ってもらう取り組みをしました。優秀な作品を商品化することでしっかり評価をする。将来のユーザーになるかもしれない人たちにエシカルレザーの認識をしてもらい、合成皮革は革のフェイクではないものだと認知してもらいたいと思いました。この取り組みは、今までかかわることのなかった学校やブランドさんとのつながりも作りました。

この時改めて感じたことは

 *学校の先生ですら合成皮革はべたべたボロボロになるものだと思っている

 *縫製もしにくく扱いにくいという先入観が変わった!

 *合成皮革は「本革のフェイク」のイメージが少し変わった。

これを目の当たりにして、さらに可能性を感じたそうです。

産学共同活動と同時に行ったこととして、A4サイズの手提げ袋…

よく展示会などで資料を入れて配布されているようなサイズの…

会社の資料は紙袋だし、これを自社の素材で作って配ったらうれしいはず。と思い、縫製屋さんを市内で探し、素材を持ち込み、作っていただきました。それをお客様に配布し、こんな活動をしていますというアピールもしていました。これは現在、エシカルレザーSobagniのサイトでも「スッキリトート」として販売していますが、一番の人気商品になっています。

そんな取り組みをしながら先に上げた3つの違和感を解消したいと考えていました。会社で製造している製品を身近なものにすればもう少し社員も手に取りやすく自社製品に愛着が沸くのではないかと思いましたし、自社製品を持てるというのはちょっとうれしいものです。

ノベルティにすればお客様にも触っていただけるししかも廃棄材を使えばゴミも減る。

商品化に関しては産学共同活動で出会った銀座マギーさんで販売していただくことでクリア。銀座マギーさんも素材に興味を持っていただき、自社ブランドの商品開発にも使っていただけることができました。

そんな感じで、自分たちで全部はできないけれど、どこかと一緒にやればできることがあり、お互いの強みを生かし、いい取り組みになるのであればいい結果が生まれるという思いでやってきました。

そんな手探りの取り組み。もちろんみんなそれぞれが主の仕事を持っているメンバー。一時間の打ち合わせの後、それぞれが空き時間を見つけてやるべきことをやる日々。

ノベルティを作ったことで、取引先の方から自社のイベントで同じようにノベルティを作ってもらいたい。との依頼を受けました。共和レザーで毎年行われていた納涼祭でワークショップを行い、地域の住民や社員の家族に素材に直接触っていただく機会を作ることができました。

そのような形で、いろいろな反響がある中で決定的な出来事が起こります。取り組みをご覧になった取引先の方が私たちの取り組みを面白いと感じてくださり「muta marine」をご紹介下さったのです。

◆muta maeineとの出会い◆

2020年6月。muta marineより社長様以下2名の役員の方が来社されました。

コロナが登場した最初の年です。移動制限もかかり緊張感が走る中、

すぐ訪問したいとの強いご要望により、受け入れたのを思い出します。

なぜ、そんなに興味を持たれてすぐ来たいとおっしゃったか。

Mutaの商品でも加水分解してしまうトラブルが後を絶たなかったからです。加水分解しない合皮なんてあるのか??ということで社長様自らが足を運んでくださいました。

私は愛する自社の素材について一通り熱くご提案をしたところ、すぐに社長はこの素材を使いたい、とおっしゃって下さいました。あまりにもノリが軽いので、信じられない気持ちでしたが要求していただく通り、素材をお送りし、あっという間にいくつかのサンプルを作って送っていただきました。

「よすぎる素材」との評価をいただき、それ以来共和レザーの素材で大変多くの商品を企画していただいています。

ここに行きつくまで約3年。 様々な活動を通じて、いろいろな方から客観的な評価をいただき、可能性を強く感じることができ、社内の後押しもあり、ECサイト立ち上げに向け2020年9月キックオフすることができました。そして私たちの部署が誕生。5か月の準備期間を経て、2021年6月エシカルレザーSobagniがスタートしました。

エシカルレザーSobagniはスタート時、たった35品目のスタートでしたが、今は170品目にまで商品数を増やすことができ、スタッフ一同、同じ夢を抱えて猛進しています。

自社の愛すべきエシカルレザーを一人でも多くの方に知っていただきその価値をお伝えしたい、喜んでいただける反応、「いいね!」を集めたい。その結果エシカルレザーSobagniが広く認知されることを願っていますし、そうなるためにエシカルレザーSobaniのショップ運営、お客様のやり取り、商品の梱包など一つ一つ日真心こめて対応したいと考えています。

sobagniの目標は利益を上げることも大事ですが、もっと大事に思っていることは様々な角度から会社の価値をあげることです。エシカルレザーSobagniを通じてSDGsへの積極的な取り組みに繋がるような取り組みをしていきたいと思っています。

今私たちが取り組もうとしていること。Sobagniが企画したワークショップキットを使い、地域の子供たちに私たちのことを知ってもらおうと考えています。ワークショップは地域還元の観点からも広報的な観点からもお声がけいただけることに大変ありがたく思っています 。今はおよびいただいたイベントに私たちが出向くのが基本ですが、今後はワークショップ用キットを企画し、どんなところでも誰でも扱えるものにしていきたいと思っています。

また、これまでは対企業でしか仕事をしてきていなかった私たちがエシカルレザーSobagniを運営することで一般のユーザー様とつながることができ、レビューや厳しいご意見などを通じて自社の開発に積極的に取り入れていくこと、世の中の流れに沿った新規商品をいち早くキャッチし開発、エシカルレザーSobagniで販売すことで皆様からのご意見を頂戴し、さらなる改善、新しい商品開発にも反映させていくという企業活動にも反映させていきたいと考えています。

エシカルレザーSobagniを立ち上げる時「クレームが来たらどうするの?」「評判が落ちたらどう責任取るの?」と経営陣に何度も聞かれました。会社としては当たり前の疑問ですし、お客様に迷惑がかからないためにできることはしっかりやるのは当然のことだと思います。

クレームが来ないように最大限の準備はします。それでも失敗はあります。厳しいご意見をいただくこともあります。でもこれは私たちにとって決してマイナスではなく、成長できる「宝」だと思い、真摯に受け止め改善を怠ることなく前向きに進んでいこうと思います。

最近、一番うれしいこと。                    

・社員のメールの署名にSobagniの宣伝を入れてくれる人がいること

・エシカルレザーSobagniで働きたいと直接言って来てくれる人がいること

・日本生産初となる「ヴィーガンレザー」を自社が開発し、エシカルレザーSobagniで販売することができること

まだまだ、たった一年のSobagniで旅は始まったばかりですが会社の仲間、たくさんのパートナーの皆さんと共に成長し歩んでいけるよう頑張ってまいりますので、引き続きよろしくお願いします。

エシカルレザーSobagni 中村美由紀