Sobagniの取り組み 「産学共同活動」
Sobagniを運営する「共和レザー株式会社」は高級自動車の座席シートの素材などを
生産している合皮メーカーです。
その品質の高さは国内シェアNo.1、世界でもNo.2ということで証明されているかもしれません。
この自社製品に惚れ込んでいた店長Uが
多くの方にこの「ボロボロにならない合皮」を知ってほしい
私たちが生産している合成皮革は加水分解することのないとても耐久性の高い素材、
本革のフェイクではない、素材としてとても魅力あるものだということを
伝えたい。
どうしたら伝えられるか日々考えていました。
今から5年ほど前、その日、Uは東京に出張でした。
浜松というド田舎で普段仕事をしているので、首都圏に出張に行くときは
なるべく多くの情報を得よう、展示会や、トレンドスポットなど
「今」を知るために、目いっぱいの情報源となる物を吸収するため
動き回るのが当たり前になっていました。
あるとき、浅草にある「世界のカバン博物館」というところに立ち寄りました。
その日はその付近でお仕事があり、近くに何かないかとたまたま見つけたところでした。
博物館は、その展示方法や説明パネルの作り方、ストーリー作りなど
直接仕事に関係なくても、デザイン部という部署で「お客様にプレゼンテーションする仕事」をしている私たちには学ぶべきことがたくさんあります。
そして、そこでたまたま出会ったのが「杉野服飾大学ファッションプロダクトデザインコース」の展示会でした。特別展として開催していました。
杉野服飾大といえば「ドレメ」。ファッション関連の専門学校の認識でしたが
いつの間にか大学になっていて、大昔、私の母もドレメの出身だと言っていたのを思い出してなんだかとても親近感を覚えました。
へーこんなところで発表会させてもらえるんだ、すごいな…と告知のポスターを確認しながら入場。
あまり期待もせず、どうせ学生が作る物だし…くらいに思っていました。
ところが、会場に行くと、そこで展示されているバッグのクオリティがとても高く
しっかり作られていて、デザインもオリジナリティがあってすごく興奮しました。
その時、直感で思いました。
ここの学生さんに、私たちの合成皮革を使ってもらいたい。
未来のユーザーになるかもしれない学生さんに、私たちの素材を知ってもらいたい。
帰社して次の日、会場で撮影してきた画像を添え、企画書を書き上司に持っていきました。
考えたのは
・この大学に素材を提供したい。
・合成皮革の授業をさせてもらいたい。
・優秀な作品には報奨を与える
効果としては
・学生はただで存分素材を使える
・頑張れば報奨がもらえる
・私たちは、将来のユーザーになるかもしれない人たちに合成皮革の知識を与えられる
・共和レザーという会社を覚えてもらえる。
・社会貢献ができる
本来の仕事とは全然違うこと。
本来の仕事は自動車メーカーさんの製品を作る、提案すること。
そんな本業がありながら、どうしてもそれをしたかった。
企画書を読んだ上司の一言。
「面白いじゃないか!やろうよ。」
すぐ、社長のところに持って行って説明しよう。
…という感じであれよあれよという間にOKが出たわけですが
大学からOKが出たわけではない。笑
勝手にやりたいと思って勝手に承認は取ったものの
大学が受け入れてくれるかは全くわからない…
どうしよう…
以下、2017年11月
このメールがすべての始まりでした。
大学のHPに載っていたメールアドレスへのいきなりのメール。
探したら出てきたので載せてみます(笑)
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初めてメールさせていただきす。
静岡県浜松市にあります共和レザー株式会社 デザイン部のUと申します。
弊社は自動車内装材(合成皮革、PVCレザー)を中心として、ファッション、靴などのアパレル
関連の合成皮革も製造しているメーカーです。
今年行われていた世界の鞄博物館でのファッションプロダクトデザインコース様の展示を
見させていただき、産学共同活動の観点から、是非学生の皆様に弊社の
合成皮革を使用していただきたく、ご案内したいと思っておりました。
博物館の受付の方にお名刺をお預けしたのですが、
そのままになってしまっており、メールを差し上げます。
ファッション業界の流れも、ヴィーガンや環境の観点が
強くなってきており、弊社の主力製品である自動車の内装材でも
本革から合成皮革の流れになってきております。
学生の皆様に合成皮革の構成、特長などを知っていただき、
弊社の素材をご紹介するとともに、
特長を生かした魅力あるプロダクトを作っていただけないかと
考えております。
たとえば、弊社の新しいプロジェクトとして考えているのが
素材の無償提供
作品評価会
などを経て
弊社のコマーシャル活動の一つとして
取引のある自動車メーカーさんへのプレゼンテーションに
ご紹介させていただくとか
素材を使用いただいているファッションブランドさんへのご紹介
優秀作品についてはオリジナルブランドを立ち上げて
ネット販売できないか、など
まだまだ企画段階でありますが、
新しい取り組みとして可能性を探っております。
このあたりもアドバイスをいただきながら一緒に何かさせていただけないかと
考えております。
一度弊社のご案内がてら、お時間いただけるようでしたら
どなたかご担当の方をご紹介いただき、伺いたいと思います。
是非、お話しだけでも聞いていただきたいと思いますので
よろしくお願いいたします。
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ここからすべてが始まり、ファッションプロダクトデザインコースの教授から
ご連絡をいただき、是非!ということで
3日後には学校に訪問しておりました。
次の年のカリキュラムに我々の授業が織り込まれることになり
合成皮革の授業をやらせていただき
今年で4年目になります。今年はリモートでの授業となりましたが
授業で使っていただく素材は「日暮里で購入してくる安い合皮」ではなく
Sobagniの高級合皮、先生ですら合皮はボロボロになるものという認識で
いらっしゃるのを知ったとき、どれだけ可能性が秘めているんだろうと
とてもとてもワクワクしました…
しかも、2017年に夢のように語っていたオリジナルブランドが今年Sobagniという形で実現しており、今年から学生さんの作品を商品化できる予定でいます。
2017年ですでに希望はありました。デザイン部の数名で夢を語り合える仲間がいて
いつか自分たちの素材を使ったグッズを
販売したいと夢を語っていました。
夢があって今なにすべきか、まずはここから始めよう
次はこれをしよう、と一歩一歩進んできました。
まだまだ夢半ばではありますが、すべての始まりはここから。
いろんな出会いがあり、たくさんの方に共感をいただき助けていただき
一歩一歩取り組んできました。
これからも今もたくさんの出会いを大切に
お互い喜び合える取り組みをしていきたいと思っております。